サーモスタットをDC電圧回路で使用する時の問題点
温度制御の技術情報

サーモスタットをDC電圧回路で使用する時の問題点

サーモスタットをDC電圧回路で使用する時の問題点

DC電圧回路での使用時には、接点の傷みについて注意が必要です。

基本的には電圧/DIFF.ランク別の接点容量を確認してください。
つまり、
・AC125VとDC12Vは例えば5A
・AC250VとDC24Vは例えば3A
というようにそれぞれ、同一電流まで使用可能です。

アークによって接点が傷むメカニズム

アークによって接点が傷むメカニズムは下記の4つの要素から成り立っています。
 (a)電圧の大きさ
 (b)電流の大きさ
 (c)接点の離脱速度、投入速度
 (d)接点の材質と接点表面の状態
温度パワーセンサーは小型ですから、接点ギャップ(接点間の距離)は余り大きくはできません。
基準は0.1mmです。しかし、切れ味の良い速度機構を有し、瞬時で0.1mmのギャップを確保します。

(a)接点ギャップは主として電圧の大きさに対向する要素で、当社はAC250VまたはDC48Vを保証します。(スパークキラー等を使用した状態。)
またDC75Vまでの保証を要請されれば、接点ギャップを大きくしたM2・M3のDiff.C・Dランクのみ対応となりますが、(200mA以下まで)、DIFF.の小さなA・Bランクは作れなくなります。
DC100Vは、当社サーモスタットの構造では対応不可能です。

(b)電流の大きさは主として、アークが切れるか切れないかではなく、アークによって接点が、どれくらいダメージを受けるかに関係があります。
大電流のアークでは接点の熱上昇が短時間で起きるので接点が早く融けるとか、接点の表面酸化が早くなるとかの、悪現象を引き起こすのです。

(c)接点間距離が0.1mmまで瞬時にして離脱すればアークは切れ易いが、接点がゆっくり離れるときは、アークが切れるギャップに達するまでの接点が過熱され続けるので、接点は短期間で傷んでしまいます。
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(d)接点が傷んできて左図のような円錐突起が出来ると、アークが切れにくくなるという悪循環に陥ります。

接点の熔着事故

既に御高承とは思いますが、DCはACと異なり接点が開離する時のアークが、継続し易く接点の熔着事故が起こり易いのです。
ACでは1/50〜1/60秒ごとに電圧の位相が交替するので、アークを引く事故は起こりません。DCでは電流の流れは常に一方向ですから、アークは切れにくいのです。

接点が傷むとは?

接点が傷むとは、何を指すのでしょうか。
(e)接点材料の熔解
熔けた接点が閉成すれば、即熔着につながるのは当然ですが、そのほか、合金接点では溶解によって、各元素が析出して接点表面の性質が変わってしまったり、アークの流れに伴って一方の材料が他方に転位して、片方が凸、片方が凹形になり、次の開成時にロックするような事故も起こります。

(f)接点の動作時に起こる火花やアークによって発生するカーボンによって、接点表面や周囲が黒く汚れることはよく見られます。
カーボンが発生するとまず接点間の接触抵抗が大きくなります。
抵抗値が大きくなると当然発熱が大きくなるので、熔着の可能性が大きくなります。
また流れる電流量が減少するので、負荷のヒーターの熱が上がりにくくなる等の不具合も生まれます。
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